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中文翻訳編集:黄淑菁
英文翻訳:白須康子 英文翻訳:伊藤菜月妓 英文翻訳:坂元一枝 (2010.4月起) |
安っぽい善悪観 その下地が、子どもから大人までつくられています。 バイキンは悪いと決めつけ、自分こそ正義というようなわかりやすいアニメもあります。 そこでは正義の味方は、自分がイースト菌でできていることさえ知らずに バイキンを嫌います。こんな浅薄な善悪観でできたアニメが平気で幼稚園、 保育園で使われているのです。地球を救うドラマでも怪獣は悪者で、 〇〇マンは正義の味方・・・大乱闘の末、相手をやっつけて ガレキの処理もしないで飛んでいく〇〇マン・・・子どもをそういうもので 育てたくないですが、この国の大人は多くの人が認めるものは「善」として 無批判に受け入れ、やがてゲームソフトの善悪ものになっていき、 学校も教師も判りやすい対立図式でしかものを見ないで、容認しています。 この背景には、大人の世界ですら、三つ葉葵の印籠を出した人が正義、 出された側が悪となる刷り込みも長い間されています。 ここでも「怖がらせることで相容れぬものを作っていく」意図が働いて いるのではないでしょうか。。いまや、こういう風潮は親の間でも 一般化してきて、批判をする人を「変っている人」として囲い込み、 異質を排除しようとします。バイキンを怖がる、代官さまを怖がる・・・ 仮想敵国を怖がる・・・・・。こういう意識と価値観でこの国の現在は 覆われていると思うのです。 でも、「龍の目の涙」に出て来る子どもは「龍」を怖がりません。 相手を怖がることによって悲惨な戦争が開始されるというのは世の常ですが、 浜田廣介描く「男の子」は龍を怖がらない。それが龍の目から流れる涙という 結末を生み出すのですが・・・・そして、すべてを柔らかなつながりで まとめていくのですが、現実の歴史はどうだったでしょうか。「龍の目の涙」とは、 まったく違います。これを太平洋戦争前夜に描いた力は、ものすごいものが あると思いませんか!。 さらに私が言いたいのは、「少年の周囲の人々の描き方が重要だ」 ということです。怖がる人々・・・これが我々日本人なのかもしれません。 これも後で書きますから、覚えておいてください。 惻隠の情 ディスカッションで仁科さんが 「浜田廣介の作品を一貫して流れているものは何か?」ということをお尋ね になりましたが、私は「弱いものや理解されないものを思いやる心です」と答え、 そのキーワードは「惻隠の情なのではないか」と言いました。 「惻隠の情」とは、孟子が唱えたもので、江戸時代に、この国に定着した 日本人の精神性のひとつでしょう。ただ、この精神は戦後、急速に失われ、 昭和四十年代には消えてしまったものでもあります。 もちろん、まだ少しは日本人の中にはその気持ちが残っていて、それを 懐かしむようなところがあります。たとえば映画では「男はつらいよ」の 寅さんや「ALWAYS三丁目の夕日」の鈴木オートの社長など下町の人々で 描かれる心情に、私たちは共感を持ち、拍手を送ることがあります。 お節介にも相手に同情し、心を痛め、それが笑いになる展開。・・・・ この古い精神性がどこか懐かしいものを感じさせていますが、これは、 かつての日本人が、あたりまえのこととして世の中で発揮していた 対人関係の気持ちだったと思うのです。
by cinniyan
| 2013-07-26 06:30
| 私の絵本
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