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中文翻訳編集:黄淑菁
英文翻訳:白須康子 英文翻訳:伊藤菜月妓 英文翻訳:坂元一枝 (2010.4月起) |
私の好きな絵本 文溪堂 国頭昭子 児童書編集者 『ゆうたはともだち』(きたやまようこ・作 あかね書房) あらすじ:「ゆうたくんちのいばりいぬ」シリーズの第1作。ゆうたくんちの犬の目線で「おれ いぬ」「おまえ にんげん」「おまえ わらう」「おれ しっぽふる」など、犬であるおれ(=じんぺい)と人間であるおまえ(=ゆうた)とを対比させ、ユーモラスに違っている点を浮き彫りにする。そして最後に「おれとおまえ、ぜんぜんちがう。だけど すき。だから ともだち」と、違いを認めながらも、お互い好きだったら、友達なんだよ…と終わる。ユーモラスな味わいの中にほのぼのしつつ、深い余韻も残す絵本 *どうして、この絵本を選びましたか? K:一冊を選ぶというのは、とても難しかったです。 この絵本は、奥付で初版年を見ると、1988年とあります。 年齢がばれてしまいますが(笑)、お察しの通り、子どもの頃に読んだ本ではなく、 成人してから出会った本です。私は、昔から、人との距離を掴むのが苦手な性質で、 人から嫌われたくない、仲間外れにされたくない…一心で、ともすれば、 何でもかんでも他人にあわせようあわせようとしては、後でそんな自分に自分 で嫌気がさして…を繰り返していました。他人と「違う」ことを極端に恐れて いたんですね。そんなときに、どんなきっかけか忘れましたが… 多分、よく児童書売り場をのぞいていたので、平積みになっていただろうこの本を 何気に手に取ったのだと思いますが…、この本に出会ったんです。そして、 この本の最後の文章を読んで、ああ、人によく思われたいとか、同じにしなきゃ なんて、気にしないでもいいんだ。違っていても好きになれるし、友だちに なれるんだ…と、本当に「すとん」と納得できて救われたような気になりました。 まあ、そのおかげで、今では、「もうちょっと、他人の目を気にした方が いいかも…」的な性格に変わってしまいましたが(笑)。 それまでも、アイデンティティだとか、自分らしさだとかいった言葉は、 いろんなところで聞いたり、読んだりしていただろうに、心の奥に届かなかった のが、わずか10見開きちょっとの絵と文が深く心に響きました。 絵本の力を再認識することができました。今思えば、それがきっかけで この仕事に導かれたような気がします。 *子どもの頃は本を読みましたか? K:はい、両親も兄も一家揃って本好きだったので、家に本がいっぱいありましたし、 新しい本もよく買ってきてくれました。何よりも、両親や兄が本を読んでいる姿を 日常見ていたので、「読書」は特別なものではなく、とっても自然なものとして 捉えていたのではないかと思います。ただ、振り返って、もったいないことを したなあ…と思うのは、両親や兄の読書に影響を受けすぎたのか、 小学校2~4年頃に、思いっきり背伸びしてトーマス・マンだとかドストエフスキー、 日本だと、森鴎外だとか中嶋敦等ばかり読んで…多分、当時は読んだという より、字面を追っていただけで、まともに理解できたのは、その後学生時代に 読み返した時だと思います…、児童書や絵本に見向きもしなかったことです。 その後、小学校5年生で「ナルニア国物語」に出会って、一気に児童書に ファンタジーの世界に戻りましたが…何というか、 あの数年はもったいなかったな…と、今でも思っています。 *いい絵本とは、どんな本だと思われますか? うーん…「いい絵本」って人によっていろいろで、なかなか「これ」という定義は しづらいですね。ただ、あくまでも「私が考えた」ものとして話しますと、 読み手の感情を揺り動かすものでしょうか。ユーモラスな絵本で、思いっきり 大笑いしてすっきりしてもいいし、感動的なお話を読んで泣くのもまたよし。 他のものが目にはいらないくらい夢中になって読めるものがいいですね。 でも、これって、よく考えたら「絵」本でなくてもよくて、本全般に言える ことかもしれませんが…(汗)。 *どんな本が作りたいですか? K:前の私流いい絵本の定義と重複しますが、やはり読み手の感情を揺さぶる ような本を作りたいですね。あと、子どもの目線に徹底的に立った本。 大人には受けない、もしくは内容的に物足りないかもしれないけれど、 ピンポイントで幼児期のこの年代にぴったり、とか、小学校低学年の時には、 みんなが一種通過儀礼のように読むような本を作ってみたいです。また、 それとは別に、普遍的な内容で幼児期に読んだら幼児期なりの理解、 大きくなって読んだらまた新たな発見…読み手の成長・経験によって「読み」 が変化…深くなるような本も作ってみたいです。…… なんて、格好いいこといっていますが、今はとにかく本を作るのが楽しくて 仕方ないので、面白そうな本は何でも作ってみたいのが本音ですね… 身も蓋もありませんが… *台湾の方へのメッセージはありますか? K:世界各国共通の普遍性のあるもの、でも、その中に、「台湾」ならではの 民族性が感じられるもの…この両者のバランスがうまくとれているものを、 拝見したいと思います。日本とは同じアジアの国としての共通性もあるでしょうし、 またそれぞれの国ごとの違いもあるでしょう。双方の同異を理解しあいながら、 お互いいい本を作っていきましょう。
by cinniyan
| 2011-08-01 00:00
| 私の好きな絵本
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